8月8日のニュース

良かった箇所を抜き出すぞコーナー

『村上ラヂオ』より

 しかしこのあいだアンドルー・チェイキンが書いた『人類、月に立つ』(NHK出版)という、アポロ計画当時の宇宙飛行士たちについてのノンフィクションを読んでいて、僕のこれらの体験なんてまだまだやさしいものだったんだと思い知らされた。宇宙船内部で用を足す(大きい方)のは想像を絶して大変なことだったんですね。
 便意を催すと、宇宙飛行士は接着剤つきビニール袋を取り出して、それを裸のお尻にべたっと張り付ける。モノが出てくると、ビニールの上から指でつかんで取り出す。無重力状態ではものは自然に落ちないので、自分で取り出す必要がある。無事に出てくると、今度は殺虫剤のカプセルを開け、それを袋に入れ、中身をしっかりとこねて混ぜ合わせる。そのプロセスに一時間はかかった。臭気はまことにすさまじいものだった、とあります。
 そりゃそうだろう。窓を閉め切ったホンダ・シビックの中で、三人の人が交代で用を足すところを想像してみてください。

雑記

人の文章をタイピングで書き写すというのは何か文章の勉強になったりしないのだろうか。本を一冊まるまる写すぐらいの気概があれば何かかわるかもしれないが、こうやって2日に1回大して多くもない文章を書き写したところで僕の文章が美しくなるはずは無いとは思う。それは高望みしすぎというものだ。

ただ書き写していると感じるのは文章のリズムの違いである。ダダダダっと打っていると、微妙に表現が異なっていたり、読点をよけいにつけてしまったりする。ようするにそれが僕の文章の癖ということなのだろう。良い言い方をすると個性か。個性についての名言で、他人を真似してもどうしても出てしまう自分の癖こそが個性だ、とかなんとかがあったが、人の文章を写すことで初めて自分の文章の個性がわかるという面はある。

ま、たいていその個性はただの個性であってすばらしい個性でもなんでもない、ただの悪癖だったりするんだろう。それを認識するためにも人の文章を書き写してみるのも一興かもしれない。引用するなどの目的があるならわかるが、一興のためにそんなことする人がいるとは思えないが……。